世の中のほとんどの俳優・女優は努力と練習で演技が上手くなっていきます。
何もしていないのにお芝居が相当上手い、天賦(てんぷ)の才能を持つ俳優・女優も確かにいますが、これは本当に稀な存在。
全体の1%もいないでしょう。
では、どうやったら演技が上手くなるのでしょうか?
この記事では芸能マネージャーを15年間やってきて、「見た」「聞いた」経験をもとに、演技力を上げる3つの方法をご紹介したいと思います。
演技が上手くなる方法① 読み合わせを録画して見直す
マネージャーの仕事の1つに、タレントとの読み合わせをすることがあります。
この読み合わせとは、台本を見ながら、タレントは自分のセリフを、他のセリフはマネージャーが読むと言うものです。
読み合わせは基本的にまだお芝居の経験がない若い子とやるのですが、まだまだ演技力の低いタレントに多いのは口から出るセリフがどうしても抑揚がないと言うケースが多いんです。
棒読みとまではいきませんが、教科書を読んでいる感じになる子が本当に多いんです。
そういう場合は、決まって「もっと抑揚をつけて」と言う注文を出すのですが、セリフをしゃべってる本人は充分抑揚をつけて話しているつもりなのです。
で、これを解消するには、自分がセリフをしゃべっている。動画を見せるのが最も効果が高い方法でした。
自分が口から出して耳に入る声と、録画してみて聞いた自分のセリフには明らかな違いがあることに気づきます。
自分ではすごく感情を込めてしゃべったつもりなのに、映像通すとそれが全く感じられないと言う実に愕然とされてしまいますが、演技力を上げる方法として、最も基本的なかつ大事な方法です。
これを地道に何度も何度も繰り返すことで、どのぐらいの抑揚をつければ良いか、どのぐらい感情を表に出したら伝わるかが、なんとなく見えてくるはずです。
演技が上手くなる方法② 特定の俳優を徹底的にマネする
とあるテレビ局主催のゴルフコンペで、同じ組になった某大手芸能事務所のドラマ、統括の肩から聞いたお話です。
その統括の方の事務所には主演を入れる俳優や女優がたくさん所属していて、日本アカデミー賞とかでも必ず1人や2人ノミネートされているような大きな事務所です。
その方から、コースを回っているうちに聞けたお話。
演技力を上げるには、売れている俳優のマネをするしかないというのが、その人の結論でした。
1人の有名俳優を決めて、徹底的にその俳優が出ている作品を見るようにしているそうです。
そしてその俳優の仕草だったり、セリフの言い回しだったり「間」だったり。
目標とする俳優を徹底的にマネさせる教育をしているそうです。
もちろんモノマネではないので、無理矢理声を変えようとか、髪型やファッションまでは真似する必要は無いそう。
この方法を徹底的にすると、「あの俳優って誰々さんみたいなお芝居をするね」みたいになるんでは?と質問したのですが、答えは「それでいい』でした。
完璧なコピーを目指すモノマネ芸人なら別ですが、普通は自分のオリジナルに部分が滲み出てしまうので問題ない、というお答えでした。
演技が上手くなる方法③ 目のお芝居に集中する
ドラマや映画の撮影現場には、ベースと呼ばれるものがあります。
このベーストは、モニターがあってその目の前に監督が田園と座ります。その隣には記録さん。そして音声さんがヘッドホンを耳に当てて座っています。
私たちマネージャーは、基本的にこのベースの後ろに立って監督たちと一緒にモニターをチェックしています。
私も数多くのドラマや映画の現場に行きましたが、監督が声に出していたのは「いいねぇ、今の目の動き」「目の怒りが見えるねぇ」みたいにセリフうんぬんよりも目の動きを褒める監督が意外に多かったのです。
目は口ほどにものを言う、と言う諺がありますが、演技力でもセリフで説明するよりも目で説明すると言うのがすごく大事だったりします。
演技力を上げたいと思っている人は、大半がセリフの言い回しとかなのですが、案外目の動き目でのお芝居を重視している人は思いのほか少ないんです。
演技が上手くなる方法として、目で感情を訴える。
こういったお芝居を心がけると一気にお芝居に厚みが出たりしますよ。
まとめ
マネージャーとして様々なドラマや映画の現場で見てきた経験から、
- 読み合わせを録画して見直す
- 特定の俳優を徹底的にマネする
- 目のお芝居に集中する
という3つの方法をご紹介しました。
確かに「役になりきる」とか「役の背景を想像する」みたいな演劇論的なことも必要だとは思いますが、今回ご紹介した3つの方法を試してもらえば、今の演技力からかなりレベルアップすると思いますよ。
コメント