芸能人のマネージャーになりたい、と思う方には「芸能マネージャーって華やかそうな仕事だなあ」と思う方が多いと思います。確かにマネージャーの仕事は華やかな面もありますが、実はそれ以上に過酷な面があるのです。そのため、離職率が高い仕事でもあるのです。
では、実際どんなことがマネージャーの仕事をするにあたってきつく、そして辛いのか?芸能マネージャー を15年勤めた経験から実際の事例をご紹介します。
芸能マネージャーが辛い仕事で離職率が高い理由とは?
芸能マネージャーの離職率は高いといって間違いありません。私の場合は5人が同時に入社したのですが、半年後に残っていたのは私ともう1人だけ。3人は知らぬ間に辞めていました。「⚪︎⚪︎さん?3か月前くらいに辞めたよ?」と言われた時はショックでしたね。
今でも辞められるのを見越して多めに採用している芸能事務所は多いそうです。10人採用して2〜3人残れば御の字、という感じだそう。
ではなぜ芸能マネージャーの離職率は高いのか?どういうところが辛い仕事なのか?についていくつかご紹介します。
「拘束時間が長いのは当たり前」が辛い
やはり芸能マネージャーが1番きついと感じるのは拘束時間が長いのが当然というところです。朝5時にタレントを迎えに行き、夜11時まで収録。その後タレント宅へ送ってからやっと帰宅。こういう生活は決して珍しいことではありません。
芸能事務所ごとに就労時間が決まっており、大体午前10時出社18時退社というのが建前上の労働時間です。でも、芸能マネージャーでこのような規則正しい生活ができる事は限りなくゼロに近いでしょう。
連ドラ主演級の役者の現場マネージャーになった場合、早朝迎え深夜帰宅と言う生活が3ヶ月間続きます。もちろん撮影の休みもあるのですが、決まってそういう日にCM撮影やら雑誌の撮影が入ってきます。
この拘束時間の長さに限界を迎えて辞めていく人は多いですね。
現場マネージャーは朝の交通渋滞が辛い
ほとんどの芸能マネージャーは、現場マネージャーとしてタレントを送迎する仕事から始まります。事務所によって異なるでしょうが、自宅の近くに駐車場を借りてもらい、その車でタレントを迎えに行きます。
ただ都内は朝の渋滞が非常にきつく、電車で行けば1時間なのに車fだと2時間もかかる、なんていうことも珍しくありません。都内の道は朝6時ごろには渋滞し始め、7時を過ぎる頃には首都高速道路の混雑表示板がすべて真っ赤という日ばかり。
この遅刻しないだろうか?間に合うのだろうか…?というプレッシャーに押しつぶされてしまうマネージャーも結構多いんです。
タレントにバラシ報告をする時が精神的にきつい
タレントには大体1ヵ月先までのスケジュールを伝えます。今では大体Googleカレンダーなどをタレントとマネージャーで同期して事前にスケジュールを把握してもらうという感じ。
しかし、スケジュールに書かれている仕事の中にはまだ仮の状態の仕事もあります。この仮と言うのは、スケジュールを仮押さえしている状態で、最悪この仕事がなくなってしまう可能性もあるものです。
この仮押さえで入ってる仕事が決定になれば良いのですが、仕事がなくなってしまった時、(こういうのをバラシといいます)これをタレント本人に伝えるのがきつい仕事です。精神的に来ます。
バラシの理由はスケジュールが合わなかったなど様々ありますが、基本的には他のタレントでその仕事が決まってしまったと言う場合です。もちろんタレント本人もそういう事はわかっているので、バラシを伝えるられると凹みます。中にはテンションを下げてしまい仕事にならないタレントもいたり。中にはマネージャーに責任をなすりつけるタレントもいたりします。
ただ、多くのマネージャーはバラシの連絡だけでなく、良いお知らせを伝えるのとセットにして伝えたりします。こうするとタレントの機嫌も悪くならないんですよね、実は。
タレントと相性が悪いと辛い
タレントといえども1人の人間なので、どうしても相性の良し悪しがあるのは仕方がありません。でも、1日の大半を一緒に過ごすタレントとの相性が悪いととことん辛い思いをします。
一般的には良いイメージを持たれるタレントであっても、相性が悪いマネージャーとはとことんうまくいきません。悲惨な場合だと、移動の車の中、テレビ局の楽屋の中、スタッフのいる目の前で怒鳴り散らすタレントもいるのです。
そのタレントのマネージャーになるかは自分では決められません。こればかりは、運に身を任せるしかありません。
お盆やお正月、GWが関係ない生活がきつい
芸能界の仕事は基本的に土日や祝日は関係ありません。レギュラー番組の収録が日曜日にあるタレントの現場マネージャーは、日曜日が休みの日と言う感覚がなくなっていくでしょう。
また、多くの人が連休になるお盆やゴールデンウィークでも通常通り収録はあります。正月三ヶ日などは、バラエティー番組に出るタレントにとって一番の稼ぎ時。朝から晩まで生放送、という時期を過ごすことに。多くの人が楽しんでいるのを横目に働くのは最初は非常につらいと思います。
タレントからの圧力がきつい
世の中には色々な商品がありますが、商品は文句を言いませんよね。例えばラーメン屋さんは、お客さんから「まずい」だ「高い!」だのと文句を言われることはあっても、ラーメンから「もっと美味く作れや!ボケ!」などと文句を言われることはありません。
しかし、マネージャーはお客さんに文句や苦情を言われるだけでなく、商品であるタレントにもヤアヤア言われる仕事。例えば
- もっとスケジュール埋めて
- こんな仕事はしたくない
- なんであの役は私じゃないの
- ギャラが少ない
- ちゃんと営業しているの
こんな文句や圧力を商品であるタレントから言われることは普通にあること。これを結構なストレスに感じるマネージャーはたくさんいます。
タレントが不祥事を起こすとガチできつい
病気や怪我で番組を休んだり、ドラマや映画を降板するのとは雲泥の差くらいキツいのが担当タレントの不祥事。法に触れることはもちろんのこと、コンプライアンス的・社会的に視聴者からそっぽを向かれるような不祥事を起こされるとマネージャーの苦しさはMAX。
レギュラー番組があったり、CM契約のある担当タレントが不祥事を起こすと、すべての仕事がその対応に追われるようになります。テレビ局や広告代理店を周りまくり、頭を下げまくりの生活へ。追い討ちをかけるように自分の上司から「なんでしっかり管理してないんだ!!」という自分の監督責任を棚上げして怒鳴り散らされるという地獄の毎日が最低1ヶ月は続きます。
タレントの謹慎は仕方がないとして、事後処理を終えやっと一息ついた頃にさらにダメージを受けるのが減給。人生は山あり谷あり、ということを身を削って理解できる時です。
プライベートも巻き込んでくるタレントに付くとキツい
プライベートと仕事をきっちり分けているタレントは多いですが、中にはプライベートもマネージャーを巻き込んでくるタレントもいます。例えば仕事が終わり、タレントの家まで送り届けたのにもかかわらず、「一緒に飯食ってけや」などと言われ、タレントと一緒に夕食を取るなんていう場合もあったりします。
外から見ると、「タレントと一緒にご飯食べられて、しかもただで食べられるんだからなんていい仕事なんでしょう!」と思われるかもしれませんが、実際はそうでもなかったりします。
もちろんご飯をご馳走してくれるのは非常にありがたい話なんですが、マネージャーは会社に戻って事務作業をしたりなど他にも仕事があります。また、プライベートの予定を入れていたり。正直、今すぐに帰りたいという時も従わざるをえません。ただ、下手に断るとタレントとの信頼関係がヒビが入るので、むげにも断れず…。
他にも、帰りの途中でスーパーに寄ってと言われ、車の中で待つことに。10分15分待てば買い物が終わるかなぁと思っていたら、1時間たっても買い物が終わらない…なんて言うケースもあります。
最初は給料が安くて辛い
芸能マネージャーのお給料は安い、というのが相場です。やはり離職率が高いせいでしょうか、「辞めるかもしれない人材に高給は与えられない」というのが芸能事務所経営陣の考えなのかもしれません。なので、最初の数年間は安い給料で我慢しなければならないでしょう。
ただ、食事などで困ることのないのが現場マネージャーの良いところ。ロケ弁が食べられたり、タレントが奢ってくれたりすることもよくあるので食費には困らないかも。
また、現場マネージャーを卒業してチーフマネージャーになれれば結構高めのお給料をもらえたりします。若いうちは我慢できれば夢のある職業だったりするのです。詳しくは芸能人マネージャーの月収はどのくらい?を参考にしてみてください。
最後に
芸能マネージャーが辛いと感じるのは
- 「拘束時間が長いのは当たり前」が辛い
- 現場マネージャーは朝の交通渋滞が辛い
- タレントにバラシ報告をする時が精神的にきつい
- タレントと相性が悪いと辛い
- お盆やお正月、GWが関係ない生活がきつい
- タレントからの圧力がきつい
- タレントが不祥事を起こすとガチできつい
- プライベートも巻き込んでくるタレントに付くとキツい
- 最初は給料が安くて辛い
仕事上、こんなことが待ち受けているからです。なので、芸能マネージャーの離職率は高い傾向にあるんですよね。
「そんなに辛いんだったらみんな辞めちゃうんじゃ?」と思うかもしれませんが、実は最初の数年我慢できれば結構慣れちゃうことばかりだったりします。
逆に言えば、多くの人が「辞める」という選択肢を選ぶからこそ、しばらく我慢していれば「お?コイツは他とは違うな!」という目で見られるでしょうしね。っていうか実際自分が上司的立場になった時こう思いましたしね。
新人の頃役員の1人と麻雀をやっていた時に言われたことを思い出しました。
「出世したかったら、一番いい方法は辞めないことだよ」
って。
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