15年間芸能マネージャーをしていたコーイチと申します。
このブログには、
- 芸能人になりたい夢を持つ人
- 芸能界で働いてみたいと考えている人
- 芸能界の裏側に興味がある人
が毎日たくさん訪れてくれています。
そんな方に、ひとつ紹介したい本があります。
実際に芸能界で働いてきた私が読んで、「これ、リアルだな」と思わず唸った作品です。
それが、元芸能マネージャー・染井為人さんの小説『芸能界』。
テレビではあまり語られない芸能界の“舞台裏”が、リアルな感覚で描かれています。
15年間マネージャーとして現場を経験してきた私も、読んでいて何度も
「これ、実際あったなあ…」と感じる場面が散りばめられています。
芸能界って、表に出ないところでどんなことが起きてるの?
そう感じている方には、きっと何かしらの気づきがあるはずです。
染井為人氏は誰のマネージャーだった?
やっぱり気になるのは「元マネージャー」と言われる作者の染井為人氏が「誰のマネージャーだったのか?」という点ですよね。
で、色々調べてみると、あるインタビューでこんな話をされていたんです。
マネージャー時代に仕事で沖縄に行ったんです。一緒に行った当時のモデルで今は女優として活躍している清野菜名さんが、どうしても『沖縄の父』という人に占ってもらいたいと言うので、仕方がないので付いていくことに。
彼女は“芸能界に向いていないけれど、19歳に一度だけチャンスがあるから、そこにすべてを賭けろ。それでも無理なら芸能界を辞めなさい”と言われていました。
その時に私は、“マネージャーの仕事は向いていないので、すぐに辞めてクリエイティブな仕事をしろ”と言われたんです。占ってもらった後はふたりで、失礼な占い師だって怒っていました(笑)。
でも何年かたってみると彼女は19歳の頃に出演した映画がきっかけでブレイクし、今も女優として活躍しています。そして私は作家になっていて、結局当たっていたんだなと思っています」
清野菜名さんはこの方。生田斗真さんの奥様ですね。
清野菜名さんは、現在トップコート所属の女優さんですが、以前は「タンバリンアーティスツ」所属でした。
なので、作者の染井氏もタンバリンアーティスツのマネージャーだったんですね。
ひょっとしたら、私もどこかで染井氏に会ってるかもしれません。
『芸能界』は業界の怖さをリアルに表現していた
『芸能界』には7つの短編小説が書かれてるのですが、かなり実際的なことが書かれてるんです。
もちろん、フィクションなので登場人物や芸能事務所は架空の存在です。
それでも、出てくるネタが芸能界にいる人にとって「あるある!」「そういう人いる!」というのばかりなんです。
例えば
- 遅刻したタレントの髪を掴んで怒鳴る話
- 芸能界のドン的な人に逆らうと潰される話
- 元カノが自分の名声のために彼氏を売る話
- 気に入らないと年上マネージャーでも無視する清純派女優の話
- ファンからのプレゼントに盗聴器が仕込まれている話
この本に出てくるようなエピソードって、マネージャーをやってると頻繁に「聞く・見る話」なんですよ。
さすがに元マネージャーの作家さん。
リアルなネタ元があるからこそ書けたと思います。
中でも、私が思わずページをめくる手を止めてしまったのが、第6話「ほんの気の迷い」。
この本はフィクションの形をとっていますが、「これって、もしかして本当にあった『あの事件』を元ネタにしたのでは…?」と疑いたくなるほど、リアルで重たい内容でした。
キラキラした芸能界の裏側で、人知れず残酷な現実があるのを見てきた身としては、正直、「ここまで書いて大丈夫なの…?」と思ってしまうほど、ギリギリを攻めたエピソードです。
染井為人「芸能界」をネタバレしない範囲でご紹介
「芸能界」は7つのお話で構成されています。
ここでは、まだ読んでいない方が楽しめるようにネタバレしない範囲で各話をご紹介します。
①クランクアップ
かつての売れっ子俳優が、事務所を裏切る形で独立しようとするお話。
このお話の中に出る「売れたら自分の力。売れなかったら事務所のマネージャーのせい」という言葉が印象的。
こういう考えのタレントは結構います。
そして、彼らは消えていきます。
つい、自分が昔担当していた女性タレントを思い出してしまいました。
②ファン
女優を育て、今はアイドルグループを育てるマネージャーの物語。
「言うことを聞かない」担当タレントを持つマネージャーの苦しみが痛いほど分かるお話です。
気に入らないことがあると、短文LINEを連打するかつての担当女性タレントを思い出してしまいました。
③いいね
50歳を超えた元人気アイドルがインスタグラムを始めるお話。
事務所の言うことに全く耳を貸さないかつてのアイドルがどんな結末を迎えるのか?を描いた作品。
芸能界のドン的存在の怖さをまざまざと見せつけてくれる作品でした。
なぜ消えたのか?という理由すら誰も知らずに芸能界からフェードアウトした男性俳優を思い出してしまいました。
④終幕
圧倒的な権力を持ちイケメン男子達をプロデュースする、男に相手にされないブス&ホスト狂いの女性の物語。
正直言ってこういう女性、芸能界ではチラホラ見かけました。
例外なく「ヒステリー持ち」でしたけど。
ひょっとするとヒステリー持ちの女性は出世するのか?
⑤相方
コンプライアンスが厳しくなった世の中で自分たちの容姿すらいじることができなくなった漫才師のお話。
自分たちの醜さを笑いに変えるということすら許されなくなった漫才師の葛藤を描いています。
⑥ほんの気の迷い
イケメンで超絶売れっ子の俳優の葛藤を描いた作品。
側からみると、「イケメンで売れっ子、そして金持ちで羨ましいわあ」的な存在でも、誰にも相談できない様々な悩みを抱えているというお話。
たぶん、「あの人」をモデルに描いた作品ではないか?と勘繰ってしまうようなお話でした。
このお話こそまさに「芸能界の闇」。
⑦娘は女優
芸能界で活躍したい中学生の娘と、芸能界入りには反対する父親の物語。
スカウトされる子がどういった流れで芸能界で生きていくのか?がリアルに描かれています。
小学生や中学生を多く抱えている事務所でマネージャーを経験していた作者だからこそ書ける世界観でした。
伏線回収が気持ちよく読めましたね。
まとめ
7つの短編は、サクサク読み進められて読書に時間がかかる人でもアッという間に読めちゃう本です。
所々に「あるある」なエピソードが描かれていて、あまり表には出ていない芸能界の常識や裏話を知ることができると思います。
もちろん、面白い小説というのは間違いありません。
物語の序盤にひっそりと伏線を張っていて、最後一気に回収するのはかなり読み応えアリでした。
「そうだったのか…!」「お前だったのか…!」と何度心の中で叫んだことか。
一度読んだ後、もう一度読むと
- なんでこんな人の描写がされているんだろう?
- なんでこの人はこんなセリフを言ったんだろう?
ということがハッキリするので、2度楽しめました。
もちろん、この本に書かれていることは、あくまでもフィクションです。
実名でのスキャンダルとか裏話とかは週刊文春とか週刊実話とかを読んでもらった方がいいですね。
ただ、話の本筋はフィクションで間違いないんですけど、あちこちに書かれている「芸能界の実態」はガチなんですよね。
芸能界に入りたい方や興味がある方は読んでみて損はしないと思いますよ。
あと、私はこの本をAmazonで1800円で購入したんです。
でも、ebookJapanならクーポンを使って500円安く買えることが後から判明しました…。
これから読む人はebookjapanで読んだほうがお得ですよ。→染井為人『芸能界』
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