今回は、元マネージャー染井為人さんが書いた小説『芸能界』についてレビューします。
元マネージャーが書いた小説を、元マネージャーが読んでみました。
結論から先に言うと、
マネージャー経験者が「あるある!」と思わず言ってしまう
リアルな芸能界を描いている作品です。
- どうしても女優になりたい人
- スカウトされたけど芸能界が怖い人
- 子供が芸能界に興味を持ってしまった親御さん
には、ぜひ一度読んでもらいたい作品と断言できます。
染井為人氏は誰のマネージャーだった?
やっぱり気になるのは「元マネージャー」と言われる作者の染井為人氏が誰のマネージャーだったのか?という点ですよね。
で、とあるインタビューでこんな話をされていたんです。
マネージャー時代に仕事で沖縄に行ったんです。一緒に行った当時のモデルで今は女優として活躍している清野菜名さんが、どうしても『沖縄の父』という人に占ってもらいたいと言うので、仕方がないので付いていくことに。
彼女は“芸能界に向いていないけれど、19歳に一度だけチャンスがあるから、そこにすべてを賭けろ。それでも無理なら芸能界を辞めなさい”と言われていました。
その時に私は、“マネージャーの仕事は向いていないので、すぐに辞めてクリエイティブな仕事をしろ”と言われたんです。占ってもらった後はふたりで、失礼な占い師だって怒っていました(笑)。
でも何年かたってみると彼女は19歳の頃に出演した映画がきっかけでブレイクし、今も女優として活躍しています。そして私は作家になっていて、結局当たっていたんだなと思っています」
清野菜名さんは、現在トップコート所属ですが、19歳より以前は「タンバリンアーティスツ」所属でした。
なので、作者の染井氏もタンバリンアーティスツのマネージャーだったんですね。
『芸能界』のストーリーは業界の怖さをリアルに表現していた
『芸能界』には7つの短編小説が書かれてるのですが、結構リアルなことが書かれてるんですよ。
もちろん、フィクションなので登場人物や芸能事務所は架空の存在です。
でもですよ。
出てくるネタが芸能界にいた人にとって「あるある!」「そういう人いる!」というのばかりなんです。
例えば
- 遅刻したタレントの髪を掴んで怒鳴る
- 芸能界のドン的な人に逆らうと潰される
- 元カノが自分の名声のために彼氏を売る
- 気に入らないと年上マネージャーでも無視する清純派女優
この本に出てくるような話って、マネージャー経験者からすると、メチャクチャ「よく聞く・見る話」なんですよ。
特に「遅刻したタレントの髪を掴んで怒鳴る」話。
マネージャーやってると、こういうことって度々あるんですよね。
これは、2話目の「ファン」という話に出てきます。
で、こういう時って、スタッフの冷たい目からタレントを守るために「敢えて」こんなことをするんです。
すると、「マネージャーさん、そこまでしなくても…」という空気になるんです。
実はこれ、マネージャーが結構使う手なんです。
もちろん、タレントの髪を掴んで怒鳴る、というのは大袈裟で怒鳴るくらいが現実的な話。
でも、これに似たようなシチュエーションは、マネージャー経験者なら何度も見かける常套手段なんですよ。
まとめ:芸能界には入らない方がいいと思ってるなら一度読んで欲しい本
7つの短編は、サクサク読み進められて読書に時間がかかる人でもアッという間に読めちゃう本です。
でもまあ、重厚なミステリーが好きな方にとってはちょっと物足りないかもしれません。
ただ、物語の序盤にサラッと伏線を張っていて、最後一気に回収するのは読み応えアリでした。
しかも、実名では書かれていないものの「リアルな芸能界」を表現している作品としては、他にないと思います。
芸能マネージャー15年経験した身としては
- どうしても女優になりたい人
- スカウトされたけど芸能界が怖い人
- 子供が芸能界に興味を持ってしまった親御さん
には、一度読んでもらいたい作品です。
芸能界って「綺麗な上澄み」を見せるのが商売なので、こういった裏を知ることって損ではないです。
この本に書かれていることは、あくまでもフィクションです。
ただ、話の本筋はフィクションで間違いないんですけど、あちこちに書かれている「芸能界の実態」はガチなんですよね。
もし、今芸能界に進もうか進むべきじゃないか。
子供を芸能界に進ませていいものか。
こう悩んでいる方や親御さんなら一度読んでみることをお勧めします。
15年間マネージャーをしていた身としては、芸能界に入りたい方にぜひ読んで欲しい作品です。
あと、私はこの本をAmazonで1800円で購入してたんですが、「芸能界」はebookJapanでamazonより500円安く読めることを後に知ったのはショックでした(涙)
これから読みたい人はebookjapanで読むのがお得です。
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