芸能マネージャーになるため必須の芸能事務所の面接。これを突破するにはどういう受け答えをすればよいのでしょうか?また、他に受かりやすくなるコツはあるのでしょうか?
私は渋谷区の某大手芸能事務所で15年間マネージャーとして働き、採用担当になったこともあります。その経験から芸能マネージャーになりたいあなたにとってお役に立てるお話をしていきたいと思います。
芸能マネージャーの面接で大事なこと
芸能事務所だからといって他の就職面接とは大きく違うところはあまりないです。強いて言えば、運転テストがあるくらいです。ですが、芸能マネージャーの職務上、面接官が「ここを見ている!」というポイントがあるので、ここを意識しておくだけで他の志望者との差別化を図れるでしょう。
ハッキリ&シャキシャキ答えよう
昔の芸能界は暴力や暴言が当たり前の世界でしたが今は違います。とはいえ、体育会系のノリが今でも色濃く残っているのが芸能界。元気のあるなしは仕事を進める上で重要なことなんです。現場に入った時には大きな声で「おはようございます!」、仕事が終わった時には「お疲れ様でした!」というのが芸能界の当然の習わし。声が小さかったり、ゴニョゴニョ口篭ってしまい「え?何?」と周りをイラつかせる人物は避けられる傾向があります。
面接官もそこはよく見ていて「この人元気ないなあ」「挨拶できない人かも」という印象を持ってしまうと大きく減点されるので注意。たかが面接とはいえ、大きな声でハッキリとした受け答えをすることが面接突破の第一関門です。
芸能マネージャー面接で自己PRは何を言うべき?
芸能マネージャーの面接であっても自己PRは「それまでに頑張ってきたこと」「一生懸命やってきたこと」を自分の言葉で伝えるしかありません。なので、この部分については他業種の面接と変える必要はないでしょう。
下手に自分を飾り立てて大きく見せようとするとボロがでてしまうので、あくまでもありのままに。ちなみに、面接担当者として実感したのは
- バイトリーダーとして売り上げを伸ばした
- サークルの幹事として皆をまとめた
という経験談は腐るほど聞いているので、この話は避けた方が無難かも。
誰かをサポートしてきたことをアピールすると○
芸能マネージャーの仕事は担当タレントをサポートすること。決して自分が全面に出るのではなく、人の見ていないところで助けるというような縁の下の力持ち的な仕事です。なので、それまでの自分の経験で「誰かをサポートしてきた」「誰かのために頑張った」というようなアピールができれば、芸能マネージャーとしての適正あり、と判断される可能性があります。
耐えてきたことをアピール
芸能マネージャーの離職率は残念ながら高く、面接側としても10人採用して2〜3人残れば…というような感覚を持っています。マネージャーの世界では「3年やって使えるようになり、10年やって一人前」という格言があるのですが、それを待たずに辞めていく人が実際多いんです。
なので、これまでの人生で耐えてきたこと、我慢してきたことをアピールするのも、面接官からの好感度を上げるポイントだったりします。野宿しながら自転車で日本一周してきました!のような大袈裟なものでなくても良いので、一度自分の過去を見つめなおしてみると何かしらあるでしょう。
志望動機はどうする?
芸能マネージャーになりたい場合の志望動機って難しいですよね。本音を言うと
- 華やかな世界である芸能界で働きたい
- タレントのそばで働きたい
- テレビの裏側を見てみたい
こんな感じだと思います。でも、そこは大人の世界。本音だからといって何でも言って良いわけではありません。なので、志望動機としてオススメするのは
自分のやりたいこと、夢を語る
これに尽きます。
ただ、夢と言っても「老若男女問わず好かれる女優を作りたい」「MCをするだけで視聴率が爆上がりする芸人を作りたい」というような抽象的なものではありません。できるだけ具体的に言うようにしましょう。プロ野球所属のアイドルグループを12個作って売り上げのペナントレースをやりたい!とか荒唐無稽なものでも良いので、面接官の頭にその映像が浮かび上がるようなものにすると⚪︎。
芸能マネージャーの面接で言ってはいけない志望動機
芸能事務所に入るための面接では言ってはいけない志望動機があります。これを読んでいるあなたはきっと大丈夫だと思いますが、何十人かに1人はこういった志望動機を言って面接官を唖然とさせることがあるのでご注意を。
芸能界が華やかで楽しそうだから
テレビとかで、スタジオの奥の方で収録を見ているのが芸能マネージャーのイメージ、という人って多いんですよね。バラエティ番組の収録とかでカメラの後ろに立ってゲラゲラ笑っている、みたいな感じで。もちろん、これはこれで本当の姿でもあるのですが、あくまでのマネージャーの仕事のごく一部。ほとんどの仕事は他人の見えないところで起こっています。
華やかで楽しそうだからマネージャーを志す、という人にとって、実際マネージャー業をやると「地味なこと」「面倒なこと」「こんな細かいことまでさせられるの」という感じになって辞めていく可能性大。こういった志望動機をハッキリ物申す人物は面接でハネられるでしょう。
誰誰のマネージャーになりたいから
自分の憧れのタレントのマネージャーになりたい!と臆面もなく言う人も危険水域にはまりこんでいる状況です。【推しアイドルのマネージャーになるには?】好きな芸能人のマネージャーになることは可能?でも書きましたが、そういった人物は真っ先にハネられます。
面接先にどうしても憧れているタレントがいる場合は、「○○さんのようなタレントを発掘し育てたい」というような言い回しにする方がよいでしょう。でも、やっぱり本当に憧れている大好きなタレントがいる事務所には入らない方がおすすめなんですけどね…。
事務所所属者に沿ってない動機
俳優のマネージメント志望なのにお笑い事務所に入りたい、またはその逆だと面接官も戸惑ってしまいます。確かに今は、芸人が役者をやったり、俳優がバラエティ番組で司会をしたりという時代になっていますが、志望動機としてはズレ過ぎという感じがします。
もっといえば、「この人はウチの事務所をちゃんと調べているんだろうか…?」という疑問を持たれてしまうので、自分のやりたいことと面接を受ける事務所とがマッチングしているのかは要確認です。ただ、芸能マネージャーになりたい、という動機では他志望者に負けてしまうでしょう。
好きなタレントを聞かれたらどう答える?
芸能事務所の面接ではかなりの確率で「好きなタレントは誰ですか?」という質問をされます。こういった場合、どんな受け答えをすると良いのでしょうか?
同性のタレントがおすすめ
変な下心を持ってるんじゃなかろうか…?と勘繰られないためにも同性のタレントの名前を挙げるのがよいでしょう。自分のところの事務所所属の女優やアイドルの名前を挙げられると、面接担当もちょっと身構えてしまいます。ですが、同性のタレントを挙げるのをお勧めします。
とはいえ、面接で見られているのはその先。そのタレントのどんなところが好きなのか、を自分の言葉で伝えなければなりません。「○○さんです。▲▲というドラマで見た▪️▪️という役で見せた演技が素晴らしく〜」など詳しく語らなければなりません。
マネージャーの仕事って「人を見る仕事」でもあるので、観察眼とかも重要視されるスキルだったりするのです。
「さん」付けで敬称を
意外に多いのがタレント名を呼び捨てにしてしまう人。確かにテレビでしか見たことのない人って遠い存在に感じてつい呼び捨てしてしまうもの。友人との会話で「昨日の大谷翔平すごかったよな!」ていう感じでつい呼び捨てしてしまいます。
でも、芸能界に入るとどんなタレントでも「〜さん」付けで呼ぶことになります。例え本人がその場に居ない場合でも、「さん」付けで言葉に発するのが掟。タレント名を呼び捨てしまう人物には面接官は違和感を覚えてしまうのです。
芸能マネージャーの面接ならではの質問
芸能マネージャーの面接には圧迫的な部分があったりします。やはり、離職率の高い職業なので面接官は志望者の「ストレス耐性」を見ているのです。なので、「う、こんなこと言われるんだ…」と怯むのではなく、堂々と「大丈夫です!」という態度を見せることが重要です。
拘束時間は長いよ?
芸能事務所にも就業時間というものは存在していますが、実質ないものと考えておいたほうがよいでしょう。そのため、朝5時〜夜23時などという拘束時間は当たり前の世界です。いざ、マネージャーになったら「こんな長い時間拘束されるんだ‥」「家に帰ってゲームする時間すらないじゃないか…」と辞めていくマネージャーは多いんですよね。
もし本気で芸能マネージャーになりたいならこの部分は覚悟せねばなりません。もちろん、その分楽しいことや良い思いをすることもあるんで。
【芸能マネージャーの1日】現場&チーフマネージャーの具体的な仕事内容の記事にあるような、実際の1日の動きを知っておくとこの質問には堂々と答えられるはずです。
体力が必要だよ?
上の拘束時間と共に離職率を高める理由の一つが体力が必要ということ。でも、体力といっても重いものを持ったりなどというものではありません。マネージャーに必要な体力とは「睡眠時間が少なくても動ける」ということです。
深夜に帰宅し早朝に家を出る、ということができるか?というのがこの質問の意図です。特に最初に経験する現場マネージャーは、車を運転してタレントを送迎することから始まります。ウトウトしながら運転して事故にても繋がったらたまりません。現場でのマネージャー業務をしつつ、安全運転するための体力は非常に大事なポイントです。
また、病気がちでは芸能マネージャーは務まりません。多少風邪気味でもそう簡単に休む訳にはいきません。すぐに体調を崩すという人物はマネージャーに向いていないでしょう。
この「体力はありますか?」という質問には、「1日くらい徹夜しても平気です」「バイトを休んだことはありません」などを自分の実例を挙げて答えると印象が良くなるはずです。
自分の希望した仕事ができないかもしれないよ?
芸能マネージャー採用として入社してもすぐにタレントに付けられるとは限りません。基本的にマネージャーの欠員がでるのは、タレントからNGが出た場合です。吉本興業のように定期的に担当替えをする事務所もありますが、基本的にタレント側から「マネージャーを変えて」というものなのです。
なので、マネージャーとして採用されても欠員がいない場合には他の仕事をすることになります。それは事務所での電話番、事務作業だったり、営業に同行するものだったり。でも、これらの仕事も結局マネージャー業に役に立つことだったりするので、修行と思って受け入れるべきです。
「自分の希望する仕事ができなくても大丈夫?」と聞かれた場合には、「経験を積む良い機会だと思います」といった内容の答えをするのがベストでしょう。
逆質問は何を聞くべき?
面接終盤でよく聞かれるのが「何か質問はありますか?」というもの。実はこれも面接官がよく見ている部分だったりするんですよ。というのも、この質問で積極性を見ているのです。
マネージャーに求められるのは「何かを言われたらやる」という受動的なものではなく、「これをやっておくとタレントが喜ぶだろうなあ、やっとこ」という能動的な姿勢。せっかく、質問できる機会をもらったのに「いえ、特にないです」という消極的な姿勢はマイナスポイントです。
絶対に何かしらの質問をするべきです。自分の気になることを遠慮せずに聞きましょう。どうしてもない場合には「これまでの仕事で一番充実したものは何ですか?」という質問もおすすめ。表に出ないマネージャーには自分の武勇伝を言いたい人も多いので、気分良く自分の自慢話をしてくれるでしょう。
芸能事務所の面接時に気を付けること
芸能界といえども他の会社の面接と変わりません。社会人として恥ずかしくない行動をするのが⚪︎。
服装は常識的なスーツで行こう
実際、マネージャーになるとスーツを着る機会は少ないでしょう。もちろん、CM撮影や制作発表などではスーツを着る機会はありますが、基本的に現場マネージャーは動きやすい格好(ジャージとかではないですよ)で仕事をします。
ですが、面接ではキチンとしたスーツでいきましょう。奇をてらった派手なスーツも不要。「私は常識人です」というアピールをするのもマネージャー面接では重要なことです。
学歴は気にしなくて大丈夫
他の志望者が有名大学だからといって気後れする必要はありません。というか全くありません。芸能マネージャーになるために学歴はハッキリ必要なと断言できます。
むしろ、東京大学など超高学歴だったりすると「何か問題がある人なんじゃないか…?」と勘繰られて逆に損をすることもあるんです。
未経験でも中途採用は可能?
新卒でマネージャーにならなかったから、といって心配はいりません。マネージャー未経験でも中途採用で芸能マネージャーになる人は多いんです。もちろん、前職がマスコミ関係という芸能事務所に比較的近い職種からの中途採用もいますが、大多数がマネージャーとは程遠い職業からの転職だったりします。
- 保育士
- タクシードライバー
- 家電量販店
- 小売業…etc
挙げたらキリがないほど様々な職業から芸能マネージャーに中途採用された人がいます。ただ、年齢的には30代中盤までかな、という感じです。
新卒採用と違うのは、活かせる前職で得たスキルや経験、具体的にどんなマネージャーになりたくて、どんな未来を想像しているのかまでハッキリと説明できるかが重要です。
最後に
芸能事務所でマネージャーとして働き、面接担当も経験した立場から、芸能マネージャーの面接に通るコツを紹介しました。その経験から言えるのですが、マネージャーとして長続きして出世した人って「自分のやりたいこと、夢を具体的に語ることができた人」だったりするんですよね。
これを面接官が想像できた、という人って芸能マネージャー面接に受かりやすかったりするんです。
ちなみに大阪や名古屋、福岡などにも芸能事務所はありますが、やはり芸能界は東京中心。
もし、あなたが関東周辺以外に住んでいてマネージャーになりたいのなら絶対に東京の芸能事務所がおすすめです。仕事の規模が全然違います。
最初はお給料の安い芸能事務所でも家賃を削れば余裕で生活できますよ。
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